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◯家族信託をはじめるには誰に依頼すればいい?
家族信託の相談はどこにすればいいのでしょうか。
真っ先に頭に浮かぶのは「信託銀行」などの金融機関でしょう。確かに信託銀行でも信託を利用することはできますが、家族信託を行うことはできません。家族信託では、受託者(財産の管理を託される人)には子供などの家族が無償でなりますが、信託銀行で行う信託は、手数料を払って信託銀行に受託者をお願いすることになります。また、信託銀行に管理をお願いできる財産は、金銭だけですので、自宅などの不動産の管理をお願いすることはできません。
なお、金融機関でよく見かける「遺言信託」は、金融機関が遺言書の作成や執行を支援するサービスですので、家族信託とは関係がありません。
家族信託の相談は、まずは司法書士や弁護士に行うのが一般的です。というのも、家族信託の開始にあたっては、相続や成年後見のことなど法律的な問題を考えなくてはならないからです。また、家族信託は平成19年の信託法改正により普及が進んだ新しい制度ですので、比較的若い専門家の方が実務に精通していることが多いでしょう。相続税対策も同時に行うケースでは、税理士にお願いすることもあるでしょう。
家族信託をはじめるには、司法書士や弁護士に依頼をして家族信託契約書を作成してもらうのが一般的です。
◯受託者には誰でもなれるの?
家族信託において受託者となるためには、特に資格などが必要というわけではありません。
しかし、受託者は受益者のために財産を長期にわたり管理し、信託法上様々な義務を負うことになりますので、下記の者はなることができないとされています。
- 未成年者
- 成年被後見人
- 被保佐人
家族信託で受託者を決める際は、受託者が先に死亡するなどその他不測の事態に備えて、予備的な受託者を信託契約で決めておくのが一般的です。
また、より長く、安定的な家族信託を行うために、非営利であれば法人が受託者となることも可能です。親族で一般社団法人を設立して受託者とする方法がよく用いられます。
この点、既に節税対策などで用いている資産管理会社(株式会社、有限会社)を受託者するようなケースと見受けられますが、そもそも営利を目的とする株式会社などが受託者になれるかについては議論があります。
受託者を誰にするかは非常に重要な問題です。家族信託をはじめる際は専門家に相談して慎重に選びましょう。
◯ 元気なうちに対策をはじめよう
残念ながら親や家族が既に認知症になってから弊社にご相談にいらっしゃる方が多くいらっしゃいます。 認知症対策として有効な家族信託も、認知症になってしまうと利用することができません。なぜなら、家族信託も通常「契約」によって開始するからです。判断能力がない状態で契約したとしても契約は無効となってしまいますので、家族信託も無効になってしまいます。
認知症対策をはじめとする生前対策は「元気なうち」にしかすることができません。
早めに対策を開始することをオススメします。