こんな時は家族信託-事業を子へ〜事業承継にも家族信託〜

◯深刻化する事業承継問題

事業を子へ〜事業承継にも家族信託〜2017年の経済産業省・中小企業庁の試算によると、事業承継問題に対する対策がこのまま進まない場合、2025年までに累計およそ650万人の雇用とおよそ約22兆円の国内総生産(GDP)が失われてしまう可能性があります。

これからの10年で70歳を迎える中小企業の経営者およそ245万人のうち、およそ半数が後継者が未だ決まっていないとされています。中小企業の円滑な事業承継を促進すべく、2018年4月1日より新事業承継税制がスタートしています。

事業承継で最も難しい問題が、オーナーが所有する株式をいかにして後継者に承継させるかという問題です。

従来、株式の承継は主に以下の方法で行われてきました。

 

①生前贈与

一度に株式を贈与すると贈与税の負担が過大となる可能性があります。一方、分散して贈与することも考えられますが、承継が完了するまで長期になる可能性があります。

また、いずれにしても遺留分の問題が生じることになります。

 

②売買

後継者がオーナーから買い取る方法です。資金調達をいかに行うかが問題となります。

融資を受けるにしても利息の負担が大きくなります。

また、オーナーには譲渡所得税が課税される可能性があります。遺留分の問題は生じません。

 

③遺言

相続発生時に株価によっては、相続税の負担が過大となるリスクがあります。また、遺言は相続人全員の合意により撤回が可能ですのでオーナーが意図した事業承継にならない可能性があります。また、当然遺留分に配慮した内容にする必要があります。

 

◯事業承継と家族信託

家族信託は、事業承継対策にも非常に有効です。生前に株式承継(経営権の譲渡)を行う上で最も難しいのがタイミングです。特に、後継者がまだ未熟である場合に株式を譲渡することを躊躇するオーナーは多いです。信託を利用すれば後継者を育成しながら事業承継を行うことが可能です。

例えば、現オーナーAを委託者、後継者Bを受託者、現オーナーAを受益者をして株式を信託することにより、株式のうち議決権を後継者Bに、自益権(配当を受ける権利など)は現オーナーAに移すことが可能となります。

Aとしては、後継者が後継者として不適格であれば信託を解除することもできます。また、Aを指図権者と定め、議決権の行使について後継者Bに指図することによって経営に引き続き参画することも可能です。

生前に株式を譲渡してしまうと、その後は経営に関わることができなくなりますが、信託を利用すれば可能です。信託を使うことにより、後継者を育成しながら事業承継を進めていくことができるのです。なお、信託により議決権はBに移ることになりますが、Bに贈与税はかかりません。

◯ 元気なうちに対策をはじめよう

残念ながら親や家族が既に認知症になってから弊社にご相談にいらっしゃる方が多くいらっしゃいます。 認知症対策として有効な家族信託も、認知症になってしまうと利用することができません。なぜなら、家族信託も通常「契約」によって開始するからです。判断能力がない状態で契約したとしても契約は無効となってしまいますので、家族信託も無効になってしまいます。

認知症対策をはじめとする生前対策は「元気なうち」にしかすることができません

早めに対策を開始することをオススメします。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー