信託を活用できるケース-親が他界した後の問題

◯ 親が抱える障害を持つ子の将来への不安

「親なき後問題」と言われることが多いですが、障害のある子を持つ親が抱える問題です。

わたしたちが亡くなった後、自分の子を誰がどのように守ってくれるのか、親にとって最も大きな不安であるはずです。この問題は、介護、財産管理、身上監護など複数の面からの課題がありますが、法務の面から、子を守る仕組みについてお話をさせていただきます。

 

◯ 障害のある子を守る手段

妻に先立たれた夫には、子が2人います。自分亡き後の最も大きな不安は、障害を持つ次男が将来安心した生活を続けていけるかどうか。現在は自宅で共に生活し、住居の面でも経済的な面でも問題は無いが、自分亡き後の対策として何ができるでしょうか。

まず、遺言はどうでしょう。

次男が生活に困らぬよう、遺言で次男へ財産を渡すようにします。しかし、次男自らには財産の管理能力が無く、これだけでは解決になりません。では、遺言の中身を「次男の生活を保護する条件(負担付き)」で、長男に財産を渡すものとしてはどうでしょうか。この場合のリスクとして、長男が先に死亡した場合が考えられます。また、長期に亘る次男への保護ですから、いずれ長男がその遺言に従わない可能性もあります。遺言そのものに強制力は無く、また監督機能もありません。遺言を取り消す方法はありますが、それで問題が解決するものでもありません。

そこで家族信託を利用します。

父親(委託者)が長男(受託者)に自宅不動産や金銭を信託し、受益者は当初父親とします。そして自分の死後は、受益権を次男に承継させるよう設計し、父親の死後も継続的に次男への利益給付を行います。さらに、次男への利益給付と、長男の受託者としての業務が安定して続くよう司法書士等の専門家を受益者代理人として選任することができます。受託者である長男にとっては負担ともいえますから、場合によっては受託者の報酬を設定することも良いでしょうし、信託とは別に遺言を作成し、信託していない財産を長男に渡すよう対策しておくのも良いでしょう。

障害のある子を守る手段

今回のケースは一例ですが、他にも家族信託に加えて成年後見人を選任し、身上監護のフォローをすることもできます。医療・福祉・介護の従事者と連携し、まさに総合的なサポートが望まれる分野と言えるでしょう。

 

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