家族信託の注意点-信託設定時に想定しておく信託の終わらせ方

◯ 家族信託を始める前に

家族信託はその設計次第で、長期間に亘って続くスキームも可能です。それ故に、家族信託を始める際の入口部分にばかり目を向けてしまい、信託の運営中、さらには信託が終了する場面を想定できていないケースが散見されています。家族信託では組成の段階から、信託の終わりを意識しておく必要があると同時に、定期的なメンテナンスも重要になってきます。

 

◯ 家族信託の始まり

家族信託の始まりは、契約による信託か、遺言による信託かによって異なりますが、契約による信託であれば「信託契約を締結したとき」、遺言による信託であれば「本人が死亡したとき」となります。

 

◯ 家族信託の終わり

家族信託を始める前に、必ず想定して検討すべきなのが、「家族信託の終わり」についてです。家族信託がいつ終わるかについては、信託法に規定があります。代表的な事項を中心にご紹介しますと、

  • 委託者及び受益者が、信託を終了する旨の合意をしたとき
  • 信託の目的を達成した、あるいは達成できなくなったとき
  • 受託者が、受益権の全部を固有財産として保有し、それが1年間継続したとき
  • 受託者が欠けた場合に、新しい受託者が就任されず、それが1年間継続したとき
  • 信託行為において定めた事由が生じたとき

その他、信託財産について破産手続開始の決定があったときなどがあります。

例えば長期に亘る家族信託を組成するとき、契約の当事者でない方や、現在生まれていない子をスキームに組み込むことがあります。また、受益者連続型信託であれば、特有の期間制限(信託法第91条)にも注意しなければなりません。これらの場合、各方面から綿密な検討が必要であると同時に、どのタイミングで終了させるかという点が重要なポイントになります。

また、受託者の認知症対策としての家族信託であれば、本人が死亡した時点で信託が終了する旨を、契約の中で定めることになります。

なお、信託が終了した場合、清算受託者による清算手続きが必要になります。通常は受託者がそのまま清算受託者となり、現務の結了から、債権の取立て、債務の弁済、事務の計算などを経て、残余財産を残余財産受益者や帰属権利者に帰属させることになりますので、ここまでは信託が存続するものとみなされます。

 

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