信託の疑問-遺言、遺言代用信託、遺言信託との比較

◯遺言と家族信託の違い

遺言とは、亡くなった後に自分の財産を誰にどのように引き継ぐかを決める文書です。実務上は自ら全文、日付、氏名を自書する自筆証書遺言もしくは公証人が作成する公正証書遺言の形式で作成することが多いと思います。遺言は生前の対策の中で最もポピュラーなものですが、同じく生前対策の1つである家族信託とは何が違うのでしょうか。

最も大きな違いは、「どの期間を対象にしているか」です。

遺言は、「亡くなった後」の財産がどのように承継されるのかを決めるものです。したがって、まだ相続が発生していない段階では何ら効力はありません。

例えば、遺言で自宅を長男に相続させることになっていたとしても、長男は親が生きている間は、親の代わりに自宅を管理したり、処分したりすることはできません。

親が認知症になったとしても、遺言だけでは長男は何もできないということになります。

これに対して、家族信託は「亡くなるまで=生きている間」の財産管理を誰がどのように行うのかを決めることができます(「亡くなった後」の承継先を決めることも可能です)。したがって、家族信託を行っておけが、親が認知症になった場合でも子供が財産を管理したり処分したりすることができます。

 

◯遺言代用信託と遺言信託の違い

家族信託をはじめるには、主に次の2つの方法によります。

 

①信託契約

委託者(財産の管理を託す人)と受託者(財産の管理を託させる人)との契約によって信託を開始することができます。

そして、遺言代用信託とは、契約によりはじめる信託のうち、「遺言と同様の機能」(=財産承継機能)を持たせた信託をいいます。つまり、信託に生前の財産管理だけでなく、財産の承継という「遺言に代わる役割」を持たせたものです。

例えば、高齢の親が自らを委託者兼受益者、子供を受託者として信託を開始、自らが亡くなった後は受益権を相続人や第三者に承継させる形をいいます。

遺言代用信託は、後述の遺言信託と異なり、契約と同時に(=生前に)信託の効力が発生します。

 

②遺言

遺言により信託を設定することができます。これを遺言信託といいます。「遺言」は民法所定の規定に従い作成する必要があります。

遺言信託は、遺言を遺す委託者が亡くなってから効力が発生します。前述の遺言代用信託は、生前に信託の効力が発生します。

なお、信託銀行などが行っている「遺言信託」と今説明している遺言信託とは全く別のものです。信託銀行が行っている遺言信託は、あくまで信託銀行が遺言の作成を支援し、遺言を保管し、そして相続発生後には遺言執行者として遺言の内容を執行する金融サービスの一種です。言うなれば、遺言信託とはいっても、法的にはただの「遺言」です。非常に紛らわしい名称ですが、しっかり区別できるようにしましょう。

 

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