家族信託の注意点-相続税対策・信託報酬について

◯ 家族信託が相続税対策になるか?

一般に、相続や認知症の対策として家族信託が利用されますが、相続「税」の対策、つまりは家族信託が節税になるのでしょうか。

結論から申し上げれば、家族信託そのものが節税になるものではありません。なぜならば、税金の面では実態で判断されますので、自益信託で財産を信託しても、受益者が死亡すれば相続税が発生しますし、他益信託をすれば贈与として課税されます。自益信託後に受益権を譲渡しても同様です。逆に言えば、自益信託をしたのみでは、受託者に課税されることはありません(登記に際しての登録免許税は除く)。

 

◯ 家族信託の組成に際しての注意点

家族信託は、認知症の対策であったり、相続による紛争の予防であったり、円滑な財産承継・事業承継に資するところに意義があります。

ですので、税金の対策として強引に家族信託を組成し、受託者に強大な権限を与え、受益者の利益とは言えない不要な不動産取引を行うことや、高額な信託報酬を設定するようなことは、内容次第では否認されかねませんので注意が必要です。

 

◯ 家族信託の結果として

前述のとおり、本来家族信託は節税のために利用されるものではありません。

ただし、認知症対策や相続対策として家族信託を利用すると、信託の運営の中で、不動産を売却・購入・組み換えをする場面があります。あくまで受益者のため、信託の目的に従って行うものではありますが、これによって結果として相続税の対策としての結果を得られるケースは存在します。

また、将来の相続税等の経費を想定して、納税資金の確保が必要な場合もあり、認知症対策の家族信託をしておくことで納税資金の確保を実現できることもあります。一言「相続対策」と言っても、その範囲は多岐に亘るものです。妥当な金額であれば信託報酬を設定すること自体も何ら問題のあることではありません。専門家を交えた適切な信託によって、本人とその家族の想いを実現することが重要です。

 

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