家族信託は、委託者と受託者が信託契約を締結することによって開始します。信託契約で定めた信託財産の管理権限は受託者に移転することになりますので、委託者が認知症等で判断能力を失ったとしても信託財産は凍結を免れることになります。これが家族信託が「認知症対策」と言われる所以です。
一方で、家族信託は開始することで受託者は法律上多くの義務や責任を負うことになりますので、事前に必ず理解しておくことが重要です。主なものは下記のとおりとなります。
●主な受託者の義務
①善管注意義務
受託者として通常期待される高い注意義務をもって信託事務を行わなければならない義務
②分別管理義務
信託財産と受託者の固有財産を分けて管理する義務
→不動産は、「信託の登記」、金銭は「その計算を明らかにする方法」によるべきとされています。
③帳簿作成・報告義務
受託者は、帳簿等の作成し、原則として毎年1回受益者に報告する義務
●主な受託者の責任
①損失填補責任
各種義務違反により、信託財産に損失が生じた場合に、損失を填補する責任
②所有者責任
法律上は、受託者が所有者。受託者が所有者としての責任を負うことになります。
③賃貸人責任
信託財産を賃貸する場合は、受託者が賃貸人としての義務を負うことになります。
上記以外にも受託者は様々な義務や責任を負うことになります。信託契約を締結する前に必ず専門家に十分に説明受けましょう。
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司法書士 元木翼
司法書士法人ミラシア・行政書士事務所ミラシア 代表
相続、遺言、後見、家族信託などが専門。相続・終活関連の相談実績は累計1,000件を超える。豊富な経験・事例を基に、“オーダーメイド”の相続・終活対策サービスを展開している。
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